土砂災害を防ぐ堰堤 in コメダの森

コメダの森

こんにちは森林の風事務局です。

コメダの森では土砂災害を防ぐために堰堤がたくさん設置されています。仏谷や倍上げ谷などの谷から流れ込む水が川を作り、この地域特有の花崗岩質の土壌が真砂土になりやすい特性のため、土砂崩れが発生しやすくなります。堰堤はこうした土砂災害を防ぎ、土砂をせき止めることで下流への影響を最小限に抑える重要な防災インフラです。例えば、堰堤があることで川の流れを緩やかにしたり、斜面の崩壊を防ぐ役割を果たしたりします。また、大雨が続く際には下流への土砂の流出を防ぐため、地域の安全を守る大切な役割を担っています。

土砂災害警戒区域図

土砂災害防止法とは、土砂災害から国民の生命を守るため、土砂災害のおそれのある区域について危険の周知、警戒避難態勢の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等のソフト対策を推進しようとするものです。「土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)」は、土砂災害が発生した場合、住民の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域です。 特徴: 「土砂災害が発生しやすい場所」という指定はありますが、基本的には住民の生命・身体に危害が生じる可能性のある場所を示しています。「土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)」は、土砂災害が発生した場合、建築物に損壊が生じ住民の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域です。特徴: 建物への被害を想定している区域です。

コメダの森にある堰堤 

■ 堰堤の主な役割は、以下となります。

  1. 土砂災害を防ぐ
    • 堰堤は土砂災害を防ぐために設置されます。
    • ダムよりも小規模で貯水はできませんが、水をせき止めることができます。
    • 河川に設置された堰堤は普段はゲートが閉じていますが、洪水時にはゲートを開けて水量を調節します。
  2. 砂防堰堤の役割
    • 砂防堰堤は山の斜面や川底・河岸から流出した土砂を貯めるために作られます。
    • 川の水の流れを緩やかにし、斜面崩壊や川の浸食を防ぐ役割があります。
    • 大量の土砂が一度に下流に流れ出ないようにし、大規模な災害を防ぎます。
    • 渓岸部では、砂防堰堤に土砂が貯まることで川底が上がり、山崩れなどの防止につながります。
    • 川幅が広くなることで水の流れを遅くする効果もあります。

透過型砂防堰堤

近年では河川氾濫や浸水被害が発生するであろう1時間当たり80㎜の豪雨件数が増加しています。20㎜~30㎜ではどしゃ降りの強い雨で側溝などが溢れかえります。30㎜~50㎜はバケツをひっくり返した激しい雨で山崩れが発生しやすくなり50㎜~80㎜では滝のように降り土石流が起こりやすくなる傾向です。

鳥井戸川上流の堰堤

平成20年9月、菰野町では鈴鹿山系を襲った豪雨により大きな被害が発生しました。国道477号はがけ崩れで壊滅し、湯の山温泉街への県道も崩落して通行不能となりました。朝明渓谷線も寸断され、朝明キャンプ場は孤立しました。山間地の集落や八風キャンプ場への道も崩壊し、職員も危険にさらされたそうです。復旧工事費は県と町で15億円を超え、災害関連事業で渓流河川の堰堤を復旧・新設しましたが、土石流で既存施設は満砂状態となり、河道も埋塞しました。御在所岳の登山道や鈴鹿国定公園の東海自然歩道など多くの観光施設が失われ、道路通行規制で観光地への集客も困難のようでした。

こうしたことから地域の安全と安心を守るためには、基盤整備が必要で災害に強いまちづくりを推進するため、治水対策、土砂災害対策、道路整備を含めた防災対策を進めることが重要であることをあらためて痛感させられたそうです。
三重県国土強靱化地域計画では、土砂災害への対応が重要な柱のひとつとして強化されています。この計画では、以下のような施策が挙げられています

  • 脆弱箇所の特定と改修: 県内の斜面崩壊や土石流のリスクが高いエリアを分析し、重点的な改修工事を実施。
  • 砂防堰堤の整備: 洪水や土砂災害を防ぐため、砂防堰堤や関連施設の設置を進めています。
  • 監視システムの導入: 大雨時における土砂災害の早期警戒のため、センサーや監視カメラの設置を拡大。
  • 避難体制の強化: 地域住民への防災教育を通じて、迅速な避難が可能な体制づくりを目指しています。
  • 防災情報の共有: 市町村や地域住民との連携を強化し、情報の速やかな伝達を図る。

土砂災害の防止策

  • 斜面の強化: 砂防堰堤や護岸の設置、また植生を利用した地盤強化が進められています。
  • 監視システム: 高度な監視技術で雨量や地盤状況をリアルタイムで追跡し、危険を早期警告。
  • ハザードマップの活用: 土砂災害警戒区域を示した地図を住民に提供し、災害の可能性がある区域を事前に認識。

森林は降り注ぐ雨水を吸収し、浸透させる重要な役割を果たします。しかし、極端な豪雨が続く場合、森林だけでは雨水の浸透が追いつかず、土砂災害の発生リスクが高まることがあります。山に降る雨は地表を流れ谷筋に集まるだけでなく、地下に浸透し、岩盤の亀裂に水の通り道を形成します。この通り道が深層崩壊の原因となることもあります。そのため、森林を適切に整備・保全そして植栽することは、土砂流出の防止や洪水の緩和につながります。また、これにより豪雨災害を防止・軽減するだけでなく、堰堤の機能を補強する役割も果たす、まさに多面的な防災システムと言えるでしょう。

このようにコメダの森でも側溝に土砂やゴミ(枯れ葉や枝木)が堆積します。このような状態の側溝をコメダ社員が整備活動を通して下の写真のようにしています。

アスファルト舗装された林道は地下への浸透がないので川への集水が短時間で起こり急激に川の水位が上昇する危険があります。側溝に土砂やゴミが詰まっていたら側溝は機能しなくなり災害リスクがさらに増します。コメダの森ではコメダ社員が定期的に側溝内に堆積した土砂等を取り除いています。これにより水の流れを確保し大雨などで林道に溢れ出ることが無くなります。

森林だけで防げるのは地表面の斜面崩壊に限られます。しかし、堰堤のような土木構造物による「ハード対策」と、適切に整備された森林のような「ソフト対策」が組み合わさることで、最大限の防災効果を発揮することができます。このような人の手による継続的な森林管理が、地域の安全を支える重要な要素だと考えます。

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