こんにちは、森林の風事務局です。当団体は、森林整備活動を中心に活動しています。しかし、整備活動が終了した段階で終わりではなく、整備後の森林を維持し、さらにどのように活用していくのかが重要な課題です。そのためには、多くの方々に森林へ関心を持っていただくことが必要不可欠だと考えています。

整備活動の一環として主に間伐や除伐を行いますが、ツバキ、サクラ、モミジなどの文字通り“華のある”樹木の伐採については、正直なところ躊躇することもあります。整備の必要性がある場合でも、なるべくこれらの樹木を傷つけないよう、細心の注意を払っています。それほど目立つ花をつける木は、人々の関心を引き付ける存在だからです。こうした花木が多く存在する森林は、人々を引き寄せ、大切にされる森林になると思っています。


花木が豊かに存在する森林は、人々に愛される森林へとつながります。さらに、植物はその地域ならではの魅力を引き出す力を持っています。例えば、桜は日本の春の象徴として「お花見」が観光の一環となり、桜並木や名所のライトアップイベントは大きな経済効果を生みます。菜の花は春先に広がる鮮やかな黄色の花で見事な景観を作り上げ、地域の特産品やイベントとの連携により訪問者を増やします。紅葉は秋の象徴として紅葉スポットが観光の大きな魅力となり、寺院や自然公園が観光客で賑わい、地域活性化に貢献します。そして、ひまわりは夏の風物詩としてひまわり畑のイベントが開催され、写真映えスポットとして特に若い世代に人気で、地域の認知度向上につながります。これらの植物はそれぞれの季節に合わせ、観光シーズンを広げる重要な役割を果たしています。


また、植物は地域経済にさまざまな形で影響を与えています。
・観光収益の増加→ 花や植物が見頃を迎える季節に、観光スポットとして多くの人を引き寄せます。例えば、富良野のラベンダーや三室戸寺のアジサイなどが、その象徴的な存在です。
・地元産業の活性化→ 観光客向けに地元特産品の生産や販売が増加します。例えば、花を使ったお菓子やスキンケア商品が人気を博し、地元の中小企業や農家の収益向上につながります。
・イベント開催による収入→ アジサイ祭りや桜祭りなどのイベントを通じて、入場料や地域の露店から収益を得ることができます。
・雇用創出 →観光地の維持管理や関連イベントの運営により、新たな雇用が生まれ、地域の働く場が広がります。
・不動産価値の向上 →植物や庭園が美しい景観を保つ地域では、居住地としての魅力が増し、不動産価値が向上することがあります。


いなべ市農業公園梅林公園は、観光産業の拠点として選定されています。この公園は、東海エリア最大級の広さ38ヘクタールを誇り、100種類・4,000本以上の梅が咲き乱れます。毎年3月に開催される梅まつりには、多くの観光客が訪れます。その選定理由には、広大な土地や数々の梅林など観光地としてのポテンシャルの高さが挙げられます。いなべ市民の日常利用や観光客のグランピングやキャンプの滞在地としても魅力的です。


花木の中でも特にアジサイ(紫陽花)は観光資源として重要な役割を果たします。梅雨の時期に美しい花を咲かせ、多くの観光客を魅了する「アジサイ祭り」や「花見スポット」が全国的に有名です。その魅力は以下の通りです
・季節感の提供:→梅雨の期間でも、鮮やかな色彩で癒しと活気を提供します。
・地域活性化→アジサイ祭りを通じて特産品や文化を発信し、地域経済を活性化します。
・写真映えスポット→ カメラ愛好家やSNSユーザーに人気で、地域の魅力が広がります。
・観光シーズンの調整→ 梅雨時期にも観光客を呼び込み、観光業を支えます。


梅雨の時期という足元が悪く集客しづらい状況下においても、アジサイの美しさは観光客を引き寄せる大きな力となります。その鮮やかな彩りと季節感が、森林への関心を高める重要な推進力となり、地域の活性化にも繋がります。また、あじさいには土砂崩れを防止する役割があります。 その成長の早さと、地中にしっかりと根を張る性質を活かし、崩れやすい斜面などに植えることで「土止め」として機能します。


アジサイ祭りや名所巡りといったイベントを通じて、その魅力をより広く発信することで、森林としての価値を一層高めることができると考えます。森林とアジサイの相乗効果が、地域全体の認知度と活気を高める鍵となるのです。


アジサイは雨の日にこそ美しさが際立つ花であり、日々の疲れや憂鬱を雨と共にそっと流してくれるように感じられます。
【三重県で有名なアジサイ園】毎年6月は多くの地域で「アジサイ祭り」を開催している

いなべ市にある「万葉の里」

津市にある「かざはやの里」