間伐材の再利用in企業の森

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アメリカのアップル社が、「2030年までにサプライチェーンの100%カーボンニュートラル達成を
約束」したんだそうです。今はどの企業もCO2ゼロ活動(カーボンニュートラル)に躍起になっていますね。 当団体のお世話になっている企業のみなさんも高い関心を示しています。

米アップルで環境・政策・社会イニシアティブ担当バイスプレジデントを務めるリサ・ジャクソン氏は「自然界には、大気中から二酸化炭素を排除するのに利用できる最高の手段がいくつかあります。森林、湿地、草原といった環境は大気中の二酸化炭素を引き寄せ、それを土、根、枝に永久に貯蔵します」と語り、森林を増やすことで地球上の二酸化炭素を削減できることを解説しています。


それもそのはずで令和3年3月に、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)の改正法案が議決されました。一定の規模以上の企業はCO2排出量を算定・報告をデジタル化し、報告された情報は公開することが定められました。


今は地球温暖化を抑制するため、世界規模でCO2削減が急速に進められています。
世界的な地球温暖化対策への大きな流れの中では、CO2削減の取り組みに無関心な企業は投資家に敬遠されるかもしれませんね・・・

「カーボンニュートラル」とは事業活動で出すCO2量を、吸収する量でプラスマイナスゼロにすることです。

さて、以前にブログでも紹介しましたが、地球温暖化抑止にまつわるCO2吸収源としてカウントされる森林は、「適切に保育管理」されていることが条件になっています。つまりは間伐された人工林だけが
その対象となるわけです。従って企業さんから要請されるCO2吸収量の調査対象となる森林は間伐が終了し、且つ樹種別に区別されているフィールドでなければなりません。

間伐前のスギ林(コメダの森)
コメダの森(ヒノキ林)間伐済み

この樹種別に区分けするという作業がなかなか大変で、当団体の預かっているフィールドの多くは針葉樹の人工林で樹種はスギとヒノキしかないのですけど混植が多いのでその境目を決めていくのに難儀をしています。樹種別の区分けが終了したとしても間伐が終了していないとCO2吸収量が測れないので一度にフィールド全体をというわけにもいかず、なかなか手間と時間の係る作業です。

険しい場所のスギ、ヒノキの区分けは一苦労

ところで普通に考えて、間伐を行えばそれだけCO2を吸収する媒体(木)か減るわけだからCO2吸収量は
減少するのではないかと思いますよね。
この疑問の回答としては、木々は光合成によりCO2を吸収して育つため、木々の成長量=CO2の吸収量(比例)となります。つまり、よく成長する木ほど、よくCO2を吸収するということだそうで、1本の木ではなく、木の幹、枝葉、根、土壌他を含めた森林全体(森林1haに含まれる木々の成長量の総和)で考えるそうです。「間伐して吸収力を増やす」だけではなく、「間伐してCO2吸収・貯留能力を維持」するということでしょうか。間伐直後(間伐後1~5年)は、間伐していない森林のCO2吸収量の方が上回っていますが間伐後6年以上経つと、間伐林の成長量が大きくなります。逆に間伐が行われず木々が混みあった状態の森林では、木々の成長が悪く、CO2の吸収力も低下します。間伐した森林と間伐していない森林とでは20年後のCO2吸収量は 10倍ぐらいの差が出ると言われます。

コメダの森の間伐材

間伐することがCO2吸収量に良い結果をもたらす作業であることは理解したとしても、伐倒された間伐材をそのまま放置しておけば、やがて腐敗してCO2を排出する元凶になりますよね。そこで間伐材の
有効利用ということが重要視されるわけですね。間伐木を運び出して木材として有効に利用すれば、そのあいだ建築物や木製品の中に炭素が貯えられているので、二酸化炭素を固定し続けていると考えることができます。

コメダ珈琲はコメダの森の間伐材を店舗のテーブル等(一部ですが・・)に再利用しています。

コメダ珈琲さんは三重「木づかい宣言」に事業登録しています。「木づかい宣言」とは、木をつかうことは「植える→育てる→収穫する→また植える」という緑の循環を生み、森の働きを活発にします。
民間の事業活動の中での木づかいの意識の広まりを受けて、県と事業者が連携して木づかいの取組を
発信することで、三重県全体で木づかいの運動を広めていきたいと考えです。

コメダの森から間伐した丸太を運び出しているコメダの社員 (結構たいへんな作業です。)

しかし、間伐材は搬出や輸送が困難な場合が多く、山林内に残置されるケースがほとんどです。
コメダの森では、なるべく搬出しやすい場所に土場を設置してそこで大型チェーンソーにより間伐材を
板材するという方法を検討中です。板材にすれば、丸太よりは搬出は楽なので間伐材の再利用に繋がりやすいのではないかということです。

コメダの森の土場 ここで間伐材を板材にする予定

これは間伐材の販売目的ではなく、板材にした間伐材は地元工業高校等に提供して地域貢献できるような木製品を考案、製作してもらえば良いのではないかと三重県と共同で計画中です。

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