レベルアツプ研修(森林CO2炭素吸収について)inまなびの森

レベルアップ講習会

こんにちは森林の風事務局です。当団体の基幹事業の一つである「企業の森」の取り組みは
全活動の中心的な存在であり、それ故に企業様の方針や三重県の政策には活動の根幹に
大きな影響を与えます。今回のレベルアツプ研修は三重県林業普指導員の水上氏をお招きして
昨今、大きく世間の注目を浴びていて、また、多くの企業が大きな社会貢献活動として取り組もう
としている地球温暖化抑制の為の森林によるCO2吸収量についてのお話を伺いました。

三重県職員  水上氏

まず、これまでの国の大きな動きをお話して頂きました。1997年の京都議定書から森林を
CO2吸収源として扱うようになり、当初の目標は1990年のCO2排出量に対して2012年には
6%削減を掲げ2010年頃には全国的に人工林の間伐を強制的に行い2008年~2012年までに
約3.8%の吸収量を確保した。直近では全森林吸収量は5500万トンt-co2/年である。
また、2015年のパリ協定からHWP(Harvested Wood Prodcts)「伐採木材製品」も取り入られ、
「森林経営」を行っている人工林から生産された製品に関してもCO2吸収量の算定可能となった。

三重県の動きとしては「ミッションゼロ2050みえ」と「三重県地球温暖化対策総合計画」の
2本立てを策定し、吸収源対策として森林整備を明記する。
具体的に森林の保全(適切な森林整備や多様な森林づくりの推進、県材産の利用促進
森林環境教育の振興)、緑地保全・緑化推進を中心とし三重の森林づくり基本計画2019と
連動して取り組んでいく。

三重県地球温暖化対策総合計画

2030年の三重県が目指す姿は(県民一人ひとりが脱炭素に向けて行動する持続可能な社会)

企業の森とCO2吸収源対策
温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルの実現を目指す
「改正地球温暖化対策推進法」が2022年4月に施行されました。
その中で企業の脱炭素化の促進のポイントとして掲げられたのは企業の温室効果ガス排出量情報
のオープンデータ化です。企業の温室効果ガス排出量報告を原則デジタル化し、排出量情報の公表に
かかる時間の短縮を図ります。さらに、従来は開示請求手続きが必要だった事業所単位での排出量情報を、手続きなしでも閲覧可能とし、企業における脱炭素化の取り組みをより透明性高く可視化しています。これにより、国内外の企業や投資家などに向けて、温室効果ガスの排出量情報の活用を促し、
国内における脱炭素経営の促進やESG投資の呼び込みを加速させる狙いがあるようです。

ゆくゆくは脱炭素化の取り組みは、「企業価値」「事業売上」「資金調達」にも大きな影響を及ぼす
ため、経営戦略として位置付ける必要でてくると予想されます。そのため、交通・輸送手段の効率化や低炭素エネルギー資源の利用、低炭素商品・サービスの開発など、各企業が適切な脱炭素経営を実践していくことが重要となるようです。

AGFグループは、バリューチェーン全体(事業プロセスごと)での環境影響をCO2排出量に
換算して定量的に把握し、削減活動に役立てています。2009年度以降、売上高あたりのCO2排出量は
継続して減少しています。事業プロセスの中では、原料、包材、製造で約9割を占めています。
2015年度から2020年度にかけて、CO2の排出量を約19%削減できました。

三重県では特に企業による森林づくり活動が盛んです。令和3年時点で31ケ所が活動しています。
その内、三分の1を当団体が管理しています。よって、森林づくりにおける吸収源対策に関しても
当団体の取組姿勢が企業からも三重県からも期待されています。
林野庁が主催して「森林×脱炭素チャレンジ202◯」と題したコンクールが始まり、森林整備を
通して脱炭素に貢献する「グリーンパートナー」をウェブサイトで公表し特に優れた取組に対しては
農林水産大臣賞を授与するなどの取組も始まりました。いずれ当団体も関わることになると思います。

CO2の認証制度
企業の森で活用可能な認証制度は3つ程あるのですが、(J-クレジット、都道府県認証制度、見える化シート)その中で有効活用し易いのが都道府県認証制度です。しかし、三重県ではその制度が残念ながら廃止されています。現時点では林野庁推薦の見える化シートを使うしかないのですが、第三者からの
認証がないのであまり有効性があるとは言えませんね。
当団体としては、木材CO2固定量認証制度はまだ、現存しているのでそちらの利用も考慮中です。

三重環境教育センター  木村氏

午後からは三重環境教育センターの木村さんからNPOとSDGsの関わりについての講義を
していただきました。

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