第20回まちのきこり人育成講座2回目 in 県民の森

まちのきこり人育成講座

こんにちは森林の風事務局です。まちのきこり人育成講座も2回目になりました。今回は「森を測る」の講義です。
新刊「森を測る」は今年の3月に発行されました。昨年まで使用されていたテキストは十数年前に作成されたもので、現代のニーズに合わない部分がありました。そのため、今年リニューアルされ、内容が更新されました。

今年は新刊テキストに合わせて講義をいたしました。ただ、当日は大雨で演習林内にはいることは出来ず実践講義は建屋の周りを計測するに至りました。森の中での実践的な演習ができなかったことは残念でした。

建屋の周りを測量する受講者さん達

屋内での講義が中心となり何か物足りなさも感じますね・・・

ということで、今回は当日の講義内容を紹介したいと思います。先ずは森林測量の必要性についてのお話をさせていただきました。

測量と林分調査を行うと「施業計画書」という計画書が作られます。これは簡単に言えば「どれくらいお金がかかるか」「どれだけ利益が出るか」をまとめたものです。林業を営む企業にとっては、この計画書がとても重要です。ただ、私たちは非営利の活動をしているため、利益を出すことが目的ではありません。私たちは、森林の手入れをすることで災害を防いだり、みんなが快適に過ごせる森林を作ったりすることを通じて、社会に貢献しています。それでも、活動を続けていくためには「施業計画書」が必要で、これを作るために測量と林分調査が欠かせません。特に森林を伐採する際には、森林がある地域の市町村に「伐採届」を出さなければなりません。その際には、「誰の土地を伐採するのか」「どこの森林を伐採するのか(地図)」「どの区域を伐採するのか」「どれだけの木を伐採するのか」などを報告する必要があります。また、森林が保安林や自然公園に指定されている場合は、県にも申請をしなければなりません。このような手続きのためにも、測量と林分調査の技術を身につけることが大切です。

以下、新刊テキストの内容に沿って「混み具合の指標」で下記の用語の解説を行いました。

材積
材積は、簡単に言うと、木全体の「木材の量」を体積で表したものです。これは、幹や大きな枝など、木材として利用できる部分の体積を計算するもので、森林資源の価値を測るときにとても重要なデータとなります。例えば、森で収穫できる木材の量を見積もったり、森林の成長を追跡したりするのに使われます。この情報を使えば、どれくらいの木材が収穫可能かが分かり、計画的な森林管理や林業の経営に役立ちます。持続可能な森林利用を考える上で欠かせない指標です。

形状比
形状比は木の「スタイル」や「バランス」を数字で表したものです。木の高さ(樹高)を、地面から胸の高さで測る幹の太さ(胸高直径)で割って計算します。この数字が大きいほど、高いけれど細い木、小さいほど低めだけど太い木になります。この形状比を調べることで、木がどれくらい丈夫で安定しているか、また健康的に育っているかが分かります。例えば、あまり細い木だと風で倒れる危険があるかもしれませんし、バランスが悪い木は成長の問題を抱えている可能性があります。

樹冠長率
簡単に言うと、樹冠長率は「木のどれくらいの部分が葉っぱゾーンなのか」を表す数字です。木の全体の高さ(樹高)と、葉っぱがついている部分(樹冠)の割合を比べて算出します。この割合を調べることで、その木が健康に育っているか、光を効率よく取り込んで成長しているかを判断できます。例えば、樹冠が短すぎると、葉っぱの量が少なくて光合成が不十分かもしれないし、逆に長すぎる場合は、幹が弱くて安定性に欠ける可能性もあります。この情報をもとに木や森の健康状態を管理したり、育成計画を立てたりするのに役立つんです。

相対幹距比
相対幹距比は、「森の中の木同士の距離」を数値で表して、どれくらい密集しているかを評価する指標です。木と木の間が狭いほど混み合っている(密度が高い)状態で、逆に広いと密度が低い状態を示します。この情報を元に、「間伐」つまり不要な木を切って間隔を広げる必要があるかどうかを判断するのに役立ちます。例えば、木が密集しすぎると光が十分に届かなくなったり、土壌の栄養が不足したりすることがあります。そのため、相対幹距比を使って適切な間伐を行うことで、森林の健康状態を保ったり、効率的に管理することができるんです。

地位指数
簡単に言うと、地位指数は、森の「成長力」を評価するための数値です。木がある程度の年齢になったときの「高さ」を基準にして、森がどれだけ成長する力を持っているかを測ります。この数値を使うことで、その森や土地がどれくらい生産的であるのか、他の地域と比べやすくなります。たとえば、同じ種類の木が異なる土地で育った場合、地位指数を使えば「どちらの土地が木を育てるのに向いているか」がわかるわけです。森林管理や計画を立てるときの大事なデータになりますね

森林の年齢
林齢:森全体の「年齢」です。森林が植えられてから、または自然に育ち始めてからどれくらいの年数が経過しているかを示します。これを基準にして、森の管理や計画を立てます。
樹齢:一本一本の「木の年齢」です。芽が出てから何年経ったかを表します。林齢は森全体についてですが、樹齢は個々の木に焦点を当てています。
齢級:年齢を5年ごとに区切った「グループ分け」です。例えば、1~5年生を「Ⅰ齢級」、6~10年生を「Ⅱ齢級」と区分します。この区分は統計を整理する際などに使われます。

これらは森林管理や計画を効果的に進めるための重要な指標です。森全体と個々の木の違いや、データ整理のための分類が役立つのです。

YOUTUBEにて動画も配信しています。

 ポケットコンパス   相対幹比とは     測量とは     標準調査とは

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