【レポート】2021年 まちのきこり人育成講座

まちのきこり人育成講座

まちのきこり人育成講座とは?


こんにちは!
今回この講座を受講したNと申します。

「森林の風」では、定期的に「まちのきこり人育成講座」という育成講座を行なっています。2006年から始めたこの講座も今回で16回目を迎えました。

この講座では、森の知識から林業やチェーンソーの扱い、安全衛生講習までしっかり学べる全8日間コースになっており、これから「森林に関わる仕事をされる方」「森林に興味がある方」にピッタリな講座となっております!また、森林施業に関わる外部講師をお招きしながら、現場で使われている知識や技術を習得することできます。

今回は、そんな「まちのきこり講座」をレポートして、私の目線で皆様にお伝えしようと思います!

【導入編】「森林の風」のフィールドへようこそ!


講座は全8回とお伝えしましたが、本講座(7回)+導入編(1回)の構成となっていまして、1番最初に行うのがこの「導入編」です。ちなみに参加は自由となっております。

この導入編では、菰野富士周辺の「森林の風」が管理している山を中心に、森を散策しながら植物や生物や森について五感を使って学ぶことができます。この日のゲストは、良県黒滝村森林組合の梶谷哲也氏をお招きしました。

梶谷さんのお話はどれも面白く、山や木の特徴を丁寧に教えていただきました。

全講座の中で唯一「森を散策」という目的で森に入れるのはこの導入編だけになっています。参加は自由ですが、「森を歩く楽しみ」を味わいたい方は、エントリーを強くオススメします!

例えば、この日、散策中に見つけたのが….

なんと、中華料理でお馴染みの「キクラゲ」!(天然は初見です、というか木に生えてるんですね。。)

こんな発見ができるのも導入編の醍醐味ですね!

【第一回】きこり体験


この回から本講座に入っていきます。
まずは、これから最後まで一緒に学ぶ参加者と森林の風のメンバーで自己紹介を行いました。皆さん山が好きな方ばかりです^^


第一回目は、のこぎりを使って木の伐り方や、枝打ちなどを座学と実践を通して学びます。

「枝打ち」は、ある高さまでの生き枝を、その付け根付近から除去する作業です。
始めて見る人も多いと思いますが、この「一本はしご」を使って木を登ります。

では実際に、安全帯を着けてチャレンジです!

思った以上に安定していますのでスイスイ登れます^^ のこぎりを使って丁寧に枝を落としていきます。

また、林業では「ロープワーク」も必要なスキルになります。
中でも「もやい結び」は基本中の基本!何度も練習して体に覚えさせます。

【第二回】森を測る


第二回では、森づくりに欠かせない「コンパス測量」と「標準値調査」を学び、森をデータ化していきます。

「測量」と「標準値調査」を行い、そのデータを基に「樹冠長率」「形状比」「相対幹距比」等の林分を判断する指標を計算します。

難しそうな言葉が並びますが、自動計算エクセルがありますので比較的に簡単にできます。
大事なのは、こうしたデータを基に「間伐計画」が出来るということです!

【第三回】チェンソーに触れる


そしてここから、お待ちかねの「チェンソー講座」に入っていきます。
チェンソーを学びたくてこの講座を受ける方も少なくないと思います。

第三回ではチェンソーの仕組み、取り扱い、メンテナンス、使用上のリスクなどをしっかり学ぶことができます!特にメンテナンスでの「刃の目立て」はチェンソーを使う上で非常に大事なスキルになります。

まずは、装備の説明です。

チェンソーは高速で回転する刃で木を伐る機械です。一歩間違えば大怪我をしてまうリスクがあります。扱う時はチェンソーパンツ、手袋、ヘルメットなどの適切な装備で行いましょう!

「目立て」はチェンソーの刃を研ぐことです。刃がつぶれていると木がなかなか伐れず、木屑も摩擦で削ったようなものになります。1本の木を伐る作業時間が倍以上なってしまい、それが山全体となれば効率がかなり落ちてしましますので「目立て」は非常に重要です。

何事も道具の使い方が基本になります。時間をを掛けてチェンソーの仕組みから丁寧に教えていただけます。

【第四回】チェンソーで伐る①


第四回目では、チェンソーの事故に関する知識と、伐木するための受け口、追い口の実習を行います。

この日もゲスト講師に、奈良県黒滝村森林組合の梶谷哲也氏をお招きしました。

実は、林業は他の産業から見ても事故が多い業界です。
その点を踏まえて、実際に現場で起きている事故の話を中心に、どういったことを気をつけるべきか教しえていただきました。現場の方の話は本当に為になります!

続いて、伐木技術の講習です。

林業では狙ったところに木を倒す訳ですが、これが本当に難しい。。
何故なら、受け口が少しズレただけでも木が倒れる数十メートル先で大きくズレてしまうからです。
この精度を上げる為、チェンソーの扱いに慣れ、受け口を綺麗に作る必要があります。ひたすら練習あるのみです。

【第五回】チェンソーで伐る②


第五回は生憎の雨。というのも、例年よりとても早い梅雨入りになったようです。
本来、山に行って伐木の実習でしたが、風が強い日、天候が悪い日は無理をしません。

室内で、DVDと安全ナビを使用して、今までの復習と次週の予習を行いました。
また、座学では大事な、振動障害と関連法規について学びました。

【第六回】チェンソーで伐る③


第六回は天気もよく、絶好の山日和となりました。ゲスト講師には、山造り舎の川島氏をお招きし伐倒の実習を行いました。

実際の山では傾斜も多く、平な場所で伐るように上手くいきません。

また、一本一本、伐木の条件が違うので、それを見極める力が必要です。経験を積んで練習を重ねる必要があります。

【第七回】安全・衛生講習


そして、いよいよ最終回になります。最後のゲスト講師は、三重大学付属病院 救急救命センター看護師の森川氏をお招きして、熱中症、危険な植物・生物、アナフィラキーショックなどの予防と対処方法を講義いただきました。午後からはAEDを使った応急手当て訓練を教えていただきました。

AEDや心臓マッサージに触れるのは久しぶりの方も多かったのではないでしょうか?
実際山の中では救急車が来るのに時間がかかります、いざという時に対処できるようにしておく、本当に大切な知識です。

最後に


いかがでしたでしょうか?

受講した方々が、これから自分たちの地域の里山を正しい知識で守っていけるように、森から林業、そして安全衛生まで幅広く学べる内容になっています。

ちなみに、受講者には「チェンソー講習修了証」が発行されます。
ご興味がある方は、是非次回の「まちのきこり人育成講座」を受講していただければと思います!

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