レベルアップ講習会 about 奈良県混交林誘導整備事業

レベルアップ講習会

こんにちは森林の風事務局です。6月中旬にレベルアップ講習会として奈良県にて行われている森林の針広混交林型へ誘導整備事業の実態を拝見したく現地へと訪れることになりました。

先ずは「混交林誘導整備」についてですが、奈良県によりますと針葉樹人工林の施業放置状態の是正、さらには、針広混交林に誘導することにより、施業放置林の公益的機能の維持増進を図り将来的に手間のかからない森林を育成することを目指すものだそうです。

元々は施業放置林の是正のため間伐を推し進めてきたようですが未だ処理しきれない施業放置林が多く、近年の温暖化による集中豪雨などによる土砂災害のリスクを考え、これまで実施してきた施業放置林の間伐は引き続き取り組みむとして新たに森林の防災力強化を図るための新しい知見に基づいた「混交林誘導整備」を行うことになったそうです。

方法としては下図のイメージです

(奈良県HPより)

混交林のメリットは地下での根系が複雑化し地上においては侵食や崩壊が起こりにくいため土砂災害などの防災機能が向上する。
また、多種多様な樹種が存在することで生物多様性にも貢献するであろうと考えられます。

結果が見えるまでにまだ相当な時間がかかると思われるので現在は普及にあたってのデータを蓄積しているところだそうです。
また、奈良県は混交林を持続させるためにアカデミーを作ってまでも人材育成にも力を入れているようです。

続いて天川村を訪れて、天川村の取り組みについて視察してきました。 天川村は、奈良県のほぼ南半分を占める吉野郡の中央部に位置する場所です。

天川村では洞川財産区の土地に県が木を育てる権利を設定する契約が満期を迎え一斉に伐採され新たな森林の更新作業が法的に義務付けらる形で、伐採跡地が返還されたそうですが返還された地代は木材価格低迷の影響と、搬出経費とで再造林のモチベーションも湧き上がらないほど低収入だったそうです。

そこで季節の移ろいを感じられない針葉樹の森林を止め、この地域の四季を感じられる森を再生し、この地に暮らし続ける子どもたちに受け継げさせるために広葉樹の森林へとシフトチェンジしたようです。取り組む広葉樹はこの地域産業で馴染みが深い「キハダ」になったそうです。

植樹されたキハダ

将来的にはキハダの樹皮や材の収穫や植林地にはハイキングコースなどの観光利用を目指す森林作業道も開設するそうです。
天川村では地域の自然に準じた広葉樹の森づくりをを通して持続可能な山村を目指しておられるようです。

天川村に訪問したメンバー

施業放置林は土砂災害、CO2排出の増加や林業の衰退など様々なデメリットを抱え込みます。このまま増え続けると、経済や環境に大きな影響を及ぼします。各県や自治体で放置林対策のあらゆる取り組みが検討、実施されているものかと思いますが、奈良県のように広葉樹の植樹を推進して木材自給率がアップし広葉樹の活用が勢いづけば放置林問題がの解決に近づくかもしれませんね。

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