尾根筋の森林 & 再生可能エネルギー

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こんにちは森林の風事務局です。2025年も梅雨の季節に突入しました。最近、局地的な大雨(線状降水帯)が頻発しており、土砂崩れなどの災害が増加しています。特に鈴鹿山脈では急峻な地形と花崗岩を含む土壌が原因で、大量の土砂が流出し、これが河川を通じて河口まで運ばれています。この過程で海の地形が変化し、生態系にも深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

三重県川越町の高松海岸(写真)は、朝明川の河口に位置しています。2025年4月から、河川のしゅんせつ工事が始まりました。しゅんせつ工事とは、川底に堆積した土砂や泥を取り除く作業です。川底に土砂や泥が堆積すると、川の流れが妨げられ、水位が上昇してしまいます。特に大雨の際に水量が増えると、氾濫の危険性が高まります。そのため、しゅんせつ工事を行うことで、川底を掘り下げて水深を確保し、水がスムーズに流れるように整備します。洪水や高潮などによる災害を防ぐ効果が期待されます。

森林の土は、落葉・落枝などの堆積物や土壌生物を多く含み、木の根が土や石などをしっかりとつかむことによって土の流出や浸食が抑えられ、降った雨の大部分を蓄え、地下水としてゆっくり時間をかけて川に流していく。こうした仕組みは、洪水や渇水、土砂崩れを防ぐ役割も果たし、土砂の流出は裸地の100分の1~150分の1、雨水の地中への浸透は裸地の2倍とも3倍とも言われている。このようなシステムは人の手では作れないし費用がかからずにメンテナンスし続けられることは奇跡ですね。

多くの人は、日本が雨の多い国であり、尾根筋から谷筋にかけての森林を失うと甚大な災害が発生することを経験上知っています。そのため、尾根筋の森林は大切にされてきました。しかし、昨今の再生エネルギー活用の気運が高まる中、尾根沿いに風力発電施設の建設が問題視されるようになりました。発電機材を運搬するために尾根を削り、森林を伐採して道を作ることで、新たな森林破壊が進行しているようです。

風力発電機を設置するためには、年間を通じて風況が良好であることが基本条件となります。その指標として、年平均風速が6.5m/秒以上の場所が推奨され、これに適した立地として尾根筋が挙げられます。一方で、居住地域に風力発電機を設置する際には、騒音被害が懸念されます。具体的には、回転するブレードが発する風切り音や、歯車の動作による機械音が主な要因となり、加えて低周波音が不快感をもたらすことがあります。このような課題により、2023年時点で再生可能エネルギーが国内全体の発電電力量の25.7%を占める一方で、風力発電の割合はわずか1.0%にとどまっています。

2018年に亀山市の加太地域で風力発電計画が中止になりました。理由は、環境影響評価準備書及び方法書に対する亀山市長意見、その中でも特に事業実施区域が「鉱区禁止地域」であること、また神武谷川が土石流危険渓流に指定されていることを考慮したとのこと
亀山市の環境破壊を許さないという姿勢や「加太の自然を守る会」の運動とそれに共同する市民などの力が実を結んだといえます。

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