台湾からの訪問人 in 森林の風

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明けましておめでとうございます。森林の風事務局です。今年(2025年)もどうぞよろしくお願い致します。
さて、昨年12月のお話になるのですが、当団体の受信メールに台湾の林業及自然保育署(新竹分署)というところからご連絡をいただきました。内容としては2025年の春に三重県の林業を見学する予定であるとのこと、そこで当団体の主幹事業である「まちのきこり人育成講座」と「企業の森」に関するレクチャーをお願いしたいというものでありました。(速水林業代表、速水亨様の紹介)当団体にとって交流は大変、喜ばしいことですが恥ずかしながら何故、台湾の方が日本の林業を視察しにくるのかよく理解していなかったので実情を調べてみました。

あけましておめでとうございます。(申し訳ありません。写真は2年前の菰野富士:鈴鹿そうぞうの森から見た初日の出です。

1990年以前の台湾では、森林伐採が非常に活発に行われていたそうです。ところが1980年代に台湾の経済が急成長し、輸出が急増し、株式市場も大幅に上昇しました。この時期、台湾は民主化への道を歩み始めたようです。それに伴い、木材の需要が急増し、大規模な伐採が行われ、その結果、森林の生態系が大きく損なわれ、土壌の浸食や水源の枯渇といった環境問題が深刻化したそうです。

当団体が管理する前の菰野富士:鈴鹿そうぞうの森辺りの状態(日中でも陽が入らず倒木だらけだった)
施業が進むにつれ居心地の良い森林へと移行しつつある。菰野富士:鈴鹿そうぞうの森

これに対処するため、台湾政府は天然林の伐採を禁止し、森林の保護と再生を推進する政策を導入しました。その政策が1991年に発令された「天然林伐採禁止令」です。この政策により、台湾の森林は徐々に回復し、環境保護の意識も高まりました。その反面、伐採禁止令の影響で国内の木材供給が減少し、木材の輸入依存度が高まるという課題も生じました。特に製材品の輸入が増加しているようです。

現在でも台湾の木材自給率は低く、2019年の統計ではわずか1.04%だそうです。台湾の森林被覆率は約60.7%と高く、その内人工林面積は約42万ヘクタールある。台湾政府は2028年までに自給率を5%に引き上げる目標を掲げているようです。ここまでで台湾の林業事情はある程度、把握できたが台湾が日本の林業に関心を示す理由は・・台湾は、持続可能な森林管理を推進するために、日本の成功事例(失敗事例も含めて・・・)から学びたいと考えているようです。また、日本の林業技術や知識は高く評価されており、台湾はこれらの技術を導入することで、林業の発展を図ろう考えているようです。このような謙虚で積極的な姿勢を見せられると日本も日々の努力を重ねていかないといつか半導体のように林業においても立場が逆転されるかもしれませんね・・・

年に数回、精油の講習会を行っている

また、台湾では古くから精油植物が持つ天然の消毒・殺菌効果を暮らしの中で活用してきたらしく、伐採した葉や枝を活用し林業農家の収益につながるよう国産精油の付加価値を高めることにも力を注いでいるようです。当団体も間伐等で出た余剰資材をどう生かしていくかには関心があり、葉や小枝からの精油の精製に取り組んでいる。精油に関する技術の教えを乞うには良いご縁かもしれない。

台湾と聞くと「タカサゴユリ」が思いつく。日本でも多く見られる外来種のユリ(菰野富士にて撮影)

「タカサゴユリ」は繁殖能力が強いのでので日本ではあまり良くは思われていないが・・・

環境問題が深刻化して環境保護意識が高まった台湾社会、その社会の支持を得る必要がある為、FSC認証制度を導入し環境に配慮した森林経営を進めようとしているようです。そういう理由から(「企業の森制度」や「まちのきこり人育成講座」などのプログラムは、台湾の林業や森づくりプログラムにとって非常に参考になると考えております。※メールの一文)ということに繋がるのか・・・いや勉強になった(一人で納得)。

「樹齢1000年を越える巨木を育む阿里山の森林は、神秘的な空気が漂う台湾屈指のパワースポット」是非とも行きたい!!

台湾の方たちと良い関係が築ければ良いな・・・今年の楽しみがまた一つ増えた感じです。

※FSC(森林管理協議会)は、持続可能な森林管理を推進するための国際的な非営利組織です。1994年に設立され、適切に管理された森林からの木材や製品を認証する制度を提供しています。FSC認証は、森林管理(FM)認証と加工・流通過程の管理(CoC)認証の連鎖から成り立っています。これにより、消費者は環境や社会に配慮した製品を選ぶことができます

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