こんにちは、森林の風事務局です。先回の記事に3月に台湾からのお客様がいらっしゃると掲載しましたが、先日実際にいらっしゃいましたので、その報告とその時に感じたことを書き出してみました。

台湾から16名のお客様がいらっしゃいました。職業は皆さんそれぞれで、役人、大学教授、木工職人、樵人など、多岐にわたるグループでした。今回の来日の目的は、先回の記事に書いた通り、台湾林業の将来を見据えて見識を広めることだそうです。


台湾林業の沿革は1980年代から工業化が進み、森林も生産目的の土地利用として伐採が盛んに行われました。その結果、水源枯渇や土砂災害などの環境問題が発生し、1991年には「天然林伐採禁止令」も発動されました。

1990年代の台湾経済はサービス業が中心となり、国民所得も上がり、教育も普及しました。そのため、森林の保全が重視されるようになりました。2000年代には「京都議定書」による温室効果ガス削減における森林の重要性が確認され始めました。

現在でも多くの国で森林面積の縮小や気候温暖化が注視されています。世界的に森林面積は縮小しているものの、台湾だけは増え続けています。それは1991年の「天然林伐採禁止令」と、山間地域での労働力の高齢化と流出に伴って農地が荒廃し、二次林が広がったことが原因です。

森林面積は増加しましたが、木材需要が追いつかず、輸入だけが増え続けています。その結果、大量の木材を外国から輸入することで、輸送によるCO2排出も増加しています。これでは世界の温室効果ガス削減に貢献しているとは言えません。


では、どうすればCO2吸収量を増加させ、林業で温室効果ガス削減に貢献できるのでしょうか。

2017年、台湾政府は「国産材元年」として人工林産業振興政策を打ち出しました。これは国産の木材を用いて建築を促進し、家具や日用品を生産することでCO2を固定するという循環利用を目的としています。伐採された木があった場所には新たに植樹し、CO2の吸収を継続させるというものです。


しかし、台湾の林業は長らく衰退していたため、人材や技術も不足しており、また林地への交通事情が悪く、伐採するにもコストがかかりすぎるという課題を抱えています。

このような多くの課題があるからこそ、日本林業の良い点や悪い点を研究し、これを参考にして打開策を見つけようとしています。

以上のことから、当団体には経営の基盤となっている「企業の森」制度のノウハウと、人材確保の要となっている「まちのきこり人育成講座」についての情報提供を求められたと推察されます。もちろん参考程度でしょうが、質疑応答では矢のように質問が飛んできて少し驚きました。

当団体からもお土産として管理フィールドから抽出した精油をプレゼントしました。
訪れた方たちは皆さん明るくバイタリティーがあり、非常に真面目で情報収集に積極的でした。仕事とはいえ、これほど真摯に向き合う姿勢には深く感銘を受けました。

ちょうど1週間前、コメダの森周辺は大雪が降り積もり、溶けずに少し残っていました。それを見て台湾からのお客様たちは大変喜んでいました。台湾では雪が少ないそうです。

お土産に台湾の地ビールを頂きました。ごちそうさまでした。