担当者のコメント
ホンダの森は、鈴鹿峠へ向かう国道1号線より左側林道を坂下峠へと向かった高畑山南側に位置し、鈴鹿川の源流域にあります。この森は急斜面の箇所が多く、その斜面の崩落も何箇所かで見られます。作業道を作りながらその崩落地の土留め設置を行い、その土留め材料調達もかねて枯損木や雑木の間伐除伐を進めるという山仕事の連続で、体力的にもきつい現場ではありますが、ホンダの社員さんやOBさんの方々と共に汗を流しています。
一方で、こうした山ならではの魅力もあります。ここにはアカガシの大木が多く存在していますがこのアカガシは三重県の天然記念物であるキリシマミドリシジミチョウが卵を産み付ける貴重な木です。この蝶はアカガシの若木を好んで卵を産むので、間伐整備により林内を明るくしないとその若木が育ちません。また下の沢では希少種のヒダサンショウウオ(山に生息する種)の生息も確認していますし、高山を好むツツジ類も初夏には鮮やかな花を咲かせています。ここに生息する動物確認のためエリア内に定点カメラを設置し観察を続けていますが、鹿やイノシシの姿が時折捉えられています。
森は緑のダムとも言われ、空気を浄化し、土を守り、生物を育み、雨水を蓄えて綺麗な水を作ります。この森のように生物多様性が豊富な森林は貴重な存在であり、その「水源の森」としての多様性を守り、数十年先、いや百年先の将来世代に引き継ぐべくこの施業を継続して進めていきたいと考えています。