こんにちは、森林の風事務局です。昼間はすっかり春の気配が感じられるようになってきましたね。そんな穏やかな陽気の中、今年最初の企業の森イベントを開催しました。


毎年3月下旬には、NTN株式会社様と一緒に植樹イベントを行っています。今年も昨年に続き、モミジとガクアジサイの植樹を実施しました。


昨年植えたガクアジサイは、鹿に繰り返し齧られて成長が妨げられていました。そこで今年は、同じ被害を防ぐために対策を講じました。


企業の森でも、鹿による食害を受ける苗木が増えており、中には枯れてしまうものもあります。三重県全体の鹿害の状況を見ると、シカの生息数は約2〜2.4万頭で推移しており、近年はやや減少傾向にあります。しかし被害は依然として深刻です。
• 林業被害額:約1.29億円(令和2年度)• 下層植生の衰退が進み、特に高標高域で顕著• いなべ市・伊賀市などと連携し、捕獲体制を強化中 このように、県内では生息数の抑制と被害軽減の両面で対策が進められていますが、現場レベルでは引き続き注意と工夫が必要な状況です。

NTNこもれびの森に隣接するいなべ市では、特にシカによる被害が深刻だと言われています。加害獣の内訳を見ても、シカが全体の35%を占めており、サル30%、イノシシ24%と比べても最も大きな割合です。
三重県では、こうした被害に対応するために• 集落ぐるみの防除• 計画的な捕獲• 防護柵の整備• 優良事例の表彰といった多層的な対策を組み合わせて進めています。
しかし、これらを実施しても鹿害が完全に解決しているわけではありません。生息密度だけを基準に捕獲しても、森林被害が減らないケースも多く見られます。そのため、鹿害を「止める」ためには、単独の対策では不十分で、シカの侵入を防ぐ(防護)+ 植生を守る(保護)+ 個体数管理(捕獲)この3つを組み合わせることが最も効果的だとされています。


シカ対策の中でも、特に効果が出やすいのが「防護」です。これはシカの行動特性をうまく利用できるためで、「鹿は囲われた狭い空間に自ら飛び込まない」という性質が、現場の経験からも研究からも確認されています。
シカが囲われた空間に入らない主な理由は次の3つです。1. 視界が悪い場所を避けるシカは捕食者から逃げるため、• 見通しが悪い• 出口が限られるといった場所を本能的に避けます。囲いの中は逃走経路が読めないため、基本的に入りません。
2. 着地地点が見えないと跳ばない シカは跳ぶ前に必ず「どこに着地するか」を確認します。そのため、• 柵の内側が狭い• 地面が見えない• 物が密集しているといった状況では、飛び越えをためらいます。
3. 狭い空間を“罠”と認識する囲い罠の研究でも、• 入口が狭いと警戒して入らない• 閉鎖空間を避けるという行動が確認されています。
こうしたシカの特性を踏まえると、当会が実施している「パッチディフェンス」は非常に理にかなった方法であり、実際に高い効果が出ています。
