センダン観察日記

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こんにちは、森林の風事務局です。早いもので、今年も残すところあとわずかとなりました。11月の風に冬の気配を感じながら、日々の活動に少し焦りを覚える今日この頃です。さて、約3年前より、某所にてセンダンの自生えの様子を静かに観察してまいりました。センダンは、山野に限らず、道路の脇道や民家の庭先など、思いがけない場所に芽を出し、たくましく育つ生命力に満ちた植物です。

どんなところにでも芽を出します

この木は、成長が非常に早く、春には美しい紫色の花を咲かせる落葉高木です。薬用としての利用、木材としての価値、そして景観樹としての魅力など、幅広い用途を持つことでも知られています。また、センダンの実には毒性があることから、取り扱いには注意が必要ですが、その一方で、古くは「アフチ」と呼ばれ、和歌や民話などにも登場するなど、文化的にも興味深い背景を持っています。

2023年6月撮影 幹の直径は4cm程度 樹高4m位
2024年10月頃撮影 樹高は6m位

センダンが、山野だけでなく道路の脇や民家の庭先など、思いがけない場所から芽を出す理由は、秋から冬にかけて、センダンの実が熟すと、その実を鳥たちが好んで食べにやってきます。鳥が実を食べた後、種子は排泄物とともに遠く離れた場所へと運ばれます。また、食べ残された実が地面に落ちることもあります。こうして、種子は親木から離れたさまざまな場所にたどり着き、そこで発芽するのです。さらに、センダンの実は一見すると1粒の種のように見えますが、実際にはその内部に複数の種子(核)が含まれていることがあります。そのため、1つの実から複数の芽が出ることも珍しくありません。
センダンは明るい場所を好む「陽樹」であり、日当たりの良い環境では特に発芽率が高くなります。加えて、新鮮な種子ほど発芽しやすい傾向があることも知られています。このように、センダンがあちらこちらに芽を出すのは、鳥たちの働きと種子の特性、そして環境条件がうまく重なり合った結果なのです。

2025年10月撮影 樹高は10m位で直径は18cmに成長していました。

センダンは放っておくと短期間で大きく育つため、庭や道路脇などで予期せぬ場所に根付くと管理が難しくなることがあります。一度根付くと伐採が困難で、地上部だけを毎年切る必要があるケースもあります。センダンは古くから「さらし首をかける木」「棺桶の材木」などとされ、不吉な木と見なされることがあるため地域によっては植栽を避ける風習も残っています。センダンは美しい花や丈夫さなど魅力も多い木ですが、場所や管理の仕方によっては“迷惑”と感じられることもあるようです。

センダンの花

センダンの実

センダンの実の中身

以下にセンダンの特徴をまとめてみると

  • 分類:センダン科センダン属
  • 分布:本州(伊豆半島以西)、四国、九州、沖縄、中国、台湾、朝鮮半島南部
  • 樹高:10〜20m(最大30m)
  • 葉:2〜3回羽状複葉、小葉は卵形で柔らかな印象
  • 花:5〜6月に紫色の小花、アゲハチョウなどが訪れる
  • 果実:10月頃に淡黄色に熟すが、有毒のため注意
  • 材質:軽量・加工しやすい(比重0.52〜0.58)
  • 用途:家具、内装、器具、楽器材など。ケヤキ・キリの代替材にも
  • 萌芽更新:伐採後に根から再生しやすく、持続可能な林業に適する
  • 薬効:果実=しもやけ、樹皮=虫下し、葉=虫除け
  • 古名:「アフチ」=淡い藤色に由来、「樗色(おうちいろ)」として親しまれる
  • 花言葉:「意見の相違」—小花が集まって咲く姿から
  • 逸話:「栴檀は双葉より芳し」は本来ビャクダン(白檀)のこと
  • 植栽場所:庭、公園、寺院、街路樹などに広く利用
  • 樹形:傘状に広がる枝が美しく、都市緑化にも適している

センダンは「種子繁殖」と「萌芽更新」の両方に優れた繁殖力を持ち、早生樹として注目されています。特に伐採後の再生力が高く、持続可能な林業資源として活用が進んでいます。

切った直後に新しい芽が再生されてくる

センダンは早生樹として各地で計画的に育成もされています。当団体もどこかのフィールドでセンダン林を作ってみるのも面白い森になると思います。機会があれば是非とも挑戦してみたいですね。


愛知県 早生樹センダン育成の手引き(PDF)
福井県 早生樹生産の手引き(PDF)

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