こんにちは森林の風事務局です。3月に入りいよいよ花粉症の辛い時期になりましたね。
スギ花粉症については国民の4割が患ているという社会的に大きな問題となっています。
政府も花粉症対策に本腰を入れだし「発生源対策」、「飛散対策」、「発症、曝露対策」を3本柱とする「花粉対策初期集中対応パッケージ」なるものを実施することになったようです。
その中でも「発生源対策」は花粉発生原となるスギ人工林を2割減少させることや30年後には花粉発生容量を半減にする。また、「スギ人工林重点区域」を設定して伐採、植替えを重点的に進めることを盛り込んでいます。ここでの植替えとは広葉樹の導入や花粉の少ないスギ苗木を植林するとともに無花粉苗木の生産拡大を推し進めるということです。
「花粉発生源スギ人工林減少推進計画」についての林業現場の声としては「場当たり的な政策」だとか
「その対策費用で治療薬を開発した方が効率的だ」とかの声が多いです。しかし、花粉症に悩まされている人にしてみたら効果の程度はどうであれ少しでもいい方向にむかえば良いですよね。
仮にスギを無くしてしまったら土砂災害のリスクも発生するし昨今、話題のCO2吸収量も減少します。 安直にスギを伐採すれば良いという考えは1940年から始まった拡大造林の政策と少し似通っているような気がします。もちろん無作為ではなく「伐って、使って、植えて、育てる」という森林資源の循環を利用して健全な森林を目指すことになっていますが・・・
スギ花粉症を患う人の割合は2019年で約39%に上り、この20年で倍以上に増えたそうです。一刻も早く対策の成果がほしいところですね。しかし、植林直後の背の低い苗木には日が当たるようにするための下草刈りという作業を5年近く続ける必要がありまた、林業従事者の人手不足も重なり植替えには数十年単位の年月がかかりそうです。
スギは20年を超えると花粉を飛散させるようになり50年生以上に成長するとCO2の吸収量も減少すると言われています。拡大造林時に植林されたスギのほとんどはは50年以上経過しています。そういう意味でかも知れませんが政府はスギ人工林の年間伐採面積を5万ha/年から7万ha/年に増すそうです。
三重県の「スギ人工林伐採重点区域」は四日市、桑名、亀山、鈴鹿、いなべ、伊賀、名張、松阪、
菰野、朝日、東員、各市町で47742haとなっています。これらを10年間で伐採するとすれば、年間約4700haを伐採することになります。しかし、上記の市町のスギ人工林は私有林が多く所有者の許可がなければ伐採することはできません。ちなみに当団体が管理するフィールドの市町の私有林(人工林面積)/全体人工林(森林面積)は菰野町1210ha/1600ha(5313ha) 東員町127ha/153ha(177ha)
桑名1144ha/(2973ha) 亀山市7904ha/(11971ha)となっています。
このようなことを考えるとなかなか前途洋々とはいかないような気がしますね。今から50年程前はアスファルトの道路も少なく、田畑も多くあったので仮に現在のように花粉が多く飛散したとしても土が吸収してくれていたのだろうけど・・いずれにしろ、もう少し我慢が必要ということですかね・・・
「マンサク」は他の花に先駆けて開花することから、「まず咲く」がなまったのが由来とされ、満開の様子が豊かな実りを連想させることから、「豊年満作」に由来するとも言われています。