植林活動need to 中小企業

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こんにちは森林の風事務局です。9月に入っても熱中症情報が危険だとか厳重警戒だとかまったくいつまで続くのだ・・という気持ちになりますね。(暑さはもう飽きた・・・)
さて、先回のブログで森林環境教育は中小企業向けにはお勧めできるESG活動の一つだとお伝えしましたが、もう一つ環境貢献型なオフセット活動として植林があります。

植林活動は気候変動のお手軽な解決方法のような提示をされているようですが、実際にはそれほど単純な話ではありません。森林の生態系は複雑で単純に大量の植林をしたから期待通りの結果が得られるも
ではなく、むしろ間違って外来植物を植えてしまい生態系の混乱を引き起こしかねません。

しかも植林した木が相当量のCO2を吸収するまで成長するにはスギ、ヒノキですと30年~50年はかかります。苗木もすべてがすくすく育つものではなく、間伐、枝打ち等の手間も必要になります。植林活動は何が目的で何処に何の木を植えるか、そしてどう管理するのかが重要になります。

話を少し大きくすると地球規模の気候変動を考えた時に植林活動だけでは解決しないのは確かです。しかし、CO2の吸収方法としての植林活動は有効なものです。植林だけでは温暖化には対応はできないが、木がなくては脱炭素は実現できません。カーボンオフセットの仕組みの中での植林活動は最適解かと思います。どちらかというと環境貢献型のオフセットで絶対値で表すことは難しいかもしれませんが・・※カーボン・オフセットとは、企業活動などで削減しきれず排出したCO2を別の場所での吸収/排出削減量でオフセット(埋め合わせ)することです。吸収量は植林や適切な森林整備によって増大したCO2吸収量のことを指します。

さて、植林活動は何の目的で何処に植えるかが重要であるとお伝えしましたが、もし国内でCO2吸収の目的で大規模に植林(スギ、ヒノキ)をしようとするならば相当なコストと時間がかかります。国内の山林はご存じのように手つかずの放置された山林も多い状態です。これは木材価格の低迷や林業の担い手不足等々の従来、言われてきた林業の課題によるものです。今すぐこの課題をクリアすることはなかなか難しいのが現状です。それを力技で押し通すとなれば相当な資金が必要でしょう。余談になりますが・・・国内の森林ではありませんが、住友林業株式会社はENEOS株式会社、大阪ガス株式会社、東京センチュリー株式会社、日本郵政株式会社、日本郵船株式会社、芙蓉総合リース株式会社、 株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、ユニ・チャーム株式会社等と組んで森林ファンドを組成し、このファンドの仕組みを活用することで個々では実現できない面積・資金規模で森林を適切に管理し、グローバルな気候変動対策を実践。また、このファンドを通じて森林のCO2吸収能力を高め、年平均約100万トンのCO2吸収を新たに生み出し、質の高いカーボンクレジットの創出で 脱炭素社会の実現に貢献、また生物多様性の維持や水資源の保全といった自然資本としての森林の価値を高めていく企画だそうです。このような大企業が集合すれば600億円という大規模なファンドも可能なのでしょうね。

では、植林活動をオフセットする目的で何を何処に植えるかということですが、何をの部分は、昨今、早生樹が注目されています。早生樹とは、文字通り早く成長する樹木のことです。スギ、ヒノキといった針葉樹よりも短期間で伐期を迎えられることから針葉樹の代替として注目されています。

早生桐の苗木

早生樹の代表的な樹木は、早生桐、センダン、コウヨウザンなどです。早生桐は3年で約7m、5年で
15mぐらい成長します。スギとの成長速度は約4倍の速さですね。また、CO2吸収量もスギの約3倍と大量に吸収します。植樹する場所は山林よりも畑いわゆる耕作放棄地に植えたほうが都合が良いようです。また、大成という企業は1.65haの敷地に早生桐の苗木675本を植樹し、成木後は、伐採し紙などと組み合わせて家具を製作。さらに家具廃棄後は木質チップに形を変えて、木質バイオマス発電の燃料素材や木材の育成肥料として活用することで、二酸化炭素の排出削減、廃棄物ゼロの実現を目指すそうです。

2年で5mオーバーに育っている

センダンは広葉樹でインドではニームの木と呼ばれているそうです。虫除け効果もありこちらも山林で育つというより耕作放棄地の方が相性もよく2年で4m、15年ぐらいで成木となり伐採が可能になります。スギより強度があり家具材に適しているようです。最後にコウヨウザンですがこちらは針葉樹で里山再生に適しているようです。スギ、ヒノキが30年〜50年で成木になるのに対してコウヨウザンは20年〜30年で伐採できます。そして何より伐採しても切株から新たな幹が伸び勝手に再生するので、まさに里山再生には最適な樹木です。だだ、外来種ではあるのですが・・・

とある施設の隙間に自生しているセンダン 1年ちょっとで3mまで成長した
コウヨウザン

植林活動をカーボンオフセットとして活用し、早生樹などを植林すればどこの場所のどの森林がCO2を吸収したのかが明確で、特に中小企業が取り組むSDGsなどの活動としてPRに活用しやすいのではないかと思います。以前、ソーラーパネルの業者さんがソーラーパネルを設置するのに多くの木を伐採したので、少しでも木を戻したいので植林活動をしたい・・という話を聞いたことがあります。確かに耕作放棄地といえどソーラーパネルよりは植林の方が企業のイメージが良いですよね。もっとも電気は作れませんが・・・

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